きかんしゃトーマスと艦隊これくしょんの類似点をまとめてみた

最近、ぼくは艦隊これくしょんにハマっている。あまり流行りものには手が出なくて話に置いてきぼりになってしまうことが多いのだが、艦これにはすっかりはまってしまった。

考えてみたら艦これはきかんしゃトーマス(とその原作の絵本「汽車のえほん」)とかなり似ている部分があることに気づいた。もちろん、きかんしゃトーマスはみんな人の姿になってるわけじゃないし、みんな女の子ってわけじゃない。

それにきかんしゃトーマスは汽車のえほんという絵本とその映像化作品だが、艦これはゲームだ(メディアミックス展開されていて小説や漫画もあるし、アニメ化も決まっているが)。それを差し置いても似ていると思う部分を挙げてみた。

1、同じ乗り物擬人化作品

当然じゃないかと思うのだけど、ここがやはり、基礎になってくると思うので挙げる。きかんしゃトーマス鉄道車両やその他の乗り物が意思を持っていたら、という発想のもとで作られたお話だ。

対して艦これは実際に活躍した軍艦たちが意思を持ち、過去の記憶を持って女の子の姿になっている。

そしてどちらも機関車として、船として、プライドを持って働いている。
きかんしゃトーマスに登場する機関車たちはどんなにボロボロになっても蒸気機関車として務めを果たそうとするし、艦これの艦娘たちは過去に活躍した経験や軍艦としてのプライドをもとにどんな強敵にも立ち向かっていく。このへんが非常に似ている。

「きかんしゃ」ではゴードンが、大きくて性能の良い、でも少しいばりんぼうの機関車として描写されている。艦これでは島風が、速くて新式の装備を積んでいて、でも他の船を遅いと言う少し高飛車(幼さの残る高飛車っぽい感じ)なキャラクターとして描写されている。どちらも裏を返せば自分が役に立つという矜持があるからだ。このへんのキャラ造形がものすごくよく似ていると思う。

2、体(車体、船体)の大きさでキャラクターの幼さ大人っぽさが決まっているところ

艦これでは大きな戦艦が大人びたキャラクター、小型の駆逐艦が幼さのある(小学生か中学生のような)キャラクターに設定されている。きかんしゃトーマスでは小さなタンク機関車(トーマスやパーシーなど)は子供っぽいキャラクター、大型テンダー機関車が大人びたキャラクターに設定されている。

ここで重要だと思うのは実際に製造・建造された時期は関係していないということだ。例えば艦これで実装されている中では戦艦を除くと軽巡洋艦天龍型が一番古い船なのだが、彼女たちは他の軽巡洋艦たちと同様に中学生から高校生っぽいような性格や見た目をしている。

きかんしゃトーマスもそうだ。例えば、青年のような性格をしているエドワードは1896年に製造された(モデルのファーネス鉄道K2型蒸気機関車が製造された年)超老朽機だ。古いことが作中で散々ネタにされている。古くて調子が悪かったり、うまく列車を牽けなかったり、時には故障もするが、持ち前の経験と頑張りをだして最後には、やり遂げる。

幼い子供のような性格をしているトーマスだって1915年に製造された機関車。そして大きなゴードンは1922年に製造された有名な鉄道技術者、ナイジェル・グレスリー卿設計のロンドン・ノース・イースタン鉄道A1型の試作機という設定だ。つまり、トーマスよりも年下なのである。

この通り、きかんしゃトーマスも艦これも、キャラクターの幼さ大人っぽさを史実での製造・建造年月日に依拠していない。その辺りがすごく似ている。

3、史実の重視

艦これが実際のモデルになった船の史実を重視した設定を艦娘にもつけているのはよく知られているが、きかんしゃトーマスも同じだ。
と言うよりはきかんしゃトーマスの原作絵本、汽車のえほんは1945年に第1巻が刊行された本で、それ以来、原作者のウィルバート・オードリー牧師は時事ネタや実際に起きた鉄道事故などを物語に取り入れていた。

たとえば「こりゃあうまいココアだぜぇ!!」というセリフでニコニコ動画では弾幕動画となってしまった「フライング・キッパー」の話にも元ネタがある。この話はヘンリーがフライング・キッパーと呼ばれる鮮魚列車を牽いているとポイントが凍結しており(冬の早朝であった)、ヘンリーがそのままポイントを通過して待避線に誤って入ってしまい、待避線でフライング・キッパーの通過待ちをしていた普通貨物列車に突っ込んでしまったという話だ。これは1876年にケンブリッジシャーのアボッツ・リプトンで起きた事故(Abbots Ripton rail accident)を元ネタにしている。

その他にもゴードンとジェームスとヘンリーがストライキを起こす話はその当時イギリス国鉄では労働争議ストライキが頻発していたという時事ネタを取り上げたものだし、ジェームスが載った転車台が風に煽られてコマのようにくるくる回ってしまったという話は一見ありえない話であるように思われるが1900年にミッドランド鉄道のセトル・カーライル線で転車台での機回し中に風に煽られて止まらなくなったという事件に基づいている。(なお転車台は1時間回り続け、土嚢で止めたという話だ)

艦これはキャラクターに史実を盛り込んでキャラ設定を魅力あるものにしており、きかんしゃトーマスも物語に時事ネタや史実を盛り込んでいる。その辺が似ていると思う。

4、ヴィッカース社とバロー・イン・ファーネスとの縁

「英国で生まれた帰国子女の金剛デース!!」
戦艦の艦娘、金剛のセリフだ。戦艦金剛はイギリスのバロー・イン・ファーネスのヴィッカース社で建造された船だ。ヴィッカース社は他にも戦艦三笠や戦艦香取を建造しており、最近実装された潜水母艦大鯨の初期装備である毘式40mm連装機銃の製造元としても日本ではなじみがある。

このバロー・イン・ファーネス、実はきかんしゃトーマスの原作絵本「汽車のえほん」に登場している。以下は汽車のえほん37巻の最初の挿絵。これは、バロー・イン・ファーネス駅である。


以下が実際のバロー駅である。(写真はウィキメディアより)


きかんしゃトーマスはイギリスの架空の島「ソドー島」を舞台としているが、そのソドー島はバロー・イン・ファーネスとマン島に挟まれた位置に存在しているのだ。

ゴードンの急行列車「ワイルド・ノーウェスター号」はソドー島のティドマス駅からバロー・イン・ファーネス駅までを結ぶ急行列車だ。そのため、ゴードンは毎日バロー・イン・ファーネス駅に停車している。

バロー・イン・ファーネスにはウォルニー島という島がある。ウォルニー島には戦艦三笠の建造を記念したミカサ・ストリートという通りがある。そのウォルニー島の中心の街が「ヴィッカースタウン(Vickerstown)」だ。ヴィッカース社の労働者が住んだためこの名がついた、

ソドー島はこのウォルニー島を含んで創作されている。

つまり何が言いたいのかというと、ソドー島にもヴィッカースタウンがあるということだ。ただし、ソドー島のヴィッカースタウンは綴りが違う。「ヴィカースタウン(Vicarstown)」になっているのだ。ヴィカースタウンにはもとソドー鉄道(正式名称はノース・ウェスタン鉄道という)の本社があったという設定だ。

他にも、エドワードという機関車はもとバロー・イン・ファーネスからホワイトヘブンを結ぶファーネス鉄道に所属していた機関車だったりする。

ヴィッカース社と縁が深い…というかヴィッカース傘下のメトロポリタン・ヴィッカース社で製造された機関車もいる。ディーゼル機関車のボコだ。


彼はイギリス国鉄クラス28ディーゼル機関車だ。メトロポリタン・ヴィッカース社製造でメトロポリタン・ヴィッカース2型ディーゼル機関車という別名でも知られている。きかんしゃトーマスの作中でもエドワードがボコのことを「彼はメトロポリタン・ヴィッカース2型ディーゼル機関車なんだぜ」と紹介する場面がある。

きかんしゃトーマスと艦これ、一見全く関係ないように見えるが、両方とも史実を織り込んでいるために製造元やその土地などでつながりが見えるというのは不思議で実に興味深い。

おまけ、声優の兼役が多い

艦これでは声優の日高里菜さんが睦月型駆逐艦や空母龍驤など11役、東山奈央さんが金剛型戦艦、高雄型重巡洋艦駆逐艦綾波、敷波など10役を演じるなど、幾つもの役を兼ねている声優さんが非常に多い。

きかんしゃトーマスでもそうだ。例えば、塩屋浩三さんがダックやマードックなど、川津泰彦さんがトビーやテレンスなど、緑川光さんがバーティーやオリバー、ハーヴィーなどを始め駅員や機関士、貨車など脇役を何役もこなしている。

艦これもきかんしゃトーマスも登場キャラクターが多く、声優さんも兼役が多くなる。これだけの違うキャラクターを演じ分ける声優さんたちの技量に脱帽だ。

きかんしゃトーマスと艦これの公式コラボ来ないかな。…来ないよね。片や子供向けで片や18歳以上対象のゲームだし

(2014年6月14日、きかんしゃトーマスクラスタからウォルニー島にも触れておけよという反応があったのでウォルニー島とソドー島のヴィッカースタウンについて追記しました。)